STORY

 

1932年。

関東大震災の復興のために建てられたアパートあさひ荘。

当時としては先進的な設定と設備を備えていた。

2019年。

幽霊アパートとして近所で噂され、今では入居者はたった一人だけになってしまったあさひ荘。

その一人も、今日アパートを出る。

退去の立ち会いのために大家である上野祥平がやってくる。

祖父から父へ、父から上野へ。

代々引き継いできたこのあさひ荘も、とうとう上野の代で入居者が０人に。

そして、来年には取り壊しが決まってしまった。

​

誰もいなくなったあさひ荘で、一人佇んでいる上野。

そこへ突然、女が現れる。

​

「あの、私ここに住みたいんですけど」

​

古びたアパートの一室が紡いだ

​８７年におよぶ、入居者たちの物語。